市販の丸鋸で木材を切断しているとき、
「騒音が大きい」と感じることはありますか?
本記事では、騒音を抑えた電動丸鋸(68dB)を
自作する方法を解説しています。
「静音性の高い丸鋸が必要である」という方は、
是非本記事をご覧ください。
なお、最新作のミニテーブルソーの方が静音性能が高い(~67dB)ので、
よろしければこちらをご覧ください。
https://mogusann.com/2024/02/12/quiet-table-saw-7/
本作品は、スライドレールを用いて材送り機構を導入しています。
ただ、スライドレールはガタが大きいものがあるので注意が必要です。
※本作品では、以下のレールを使用しました。
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丸鋸作製
まずは、丸鋸本体の作製を行います。
[使用した材]
(モーター取付板)
① MDF9mm : 「60mm × 125mm」 2枚
② ベアリング : 「内径15mm × 外径24mm」 2個
③ ベアリングスリーブ : 「内径10mm × 外径15mm」 2個
※内径10mmのベアリング を使用すれば、③は不要です。
(本来は、スリーブにタップ加工をする予定でしたが、
材が硬いため、穴をあけることすらできませんでした。)
(補強板)
④ MDF9mm : 「60mm × 153m」 2枚
⑤ MDF5.5mm : 「65.5mm × 125mm」 1枚
まずは、以下のように①の材に穴をあけます。
次に、スリーブをベアリングに圧入して(下画像)、
①に接着剤で固定します(下画像)。
次に、①と④の材を接着剤で固定して、
⑤の材を実寸合わせで切り取り、ビスで固定します(下画像)。
駆動系の加工
[使用した材]
(動力系統)
⑥ スピンドルモーター : 「200W」 1基
⑦ アルミプーリー : 「内径8mm, 外径20mm」 1個
⑧ アルミプーリー : 「内径10mm, 外径30mm」 1個
⑨ ポリウレタンベルト : 「断面積5mm, 周長225mm」 1輪
⑩ ボルトM10
⑪ MDF5.5mm : 「143mm × 153m」 1枚
モーター・シャフト・アルミプーリーを取り付けて、
ポリウレタンベルトを掛けます(下画像)。
このとき、「シャフト – ベアリング」部分(赤枠部分)を
接着剤で固定しておくと、振動の緩和につながります。
最後に、⑪の材を実寸合わせで調整し、
電線用の穴あけ加工をした後、接着します(下画像)。
筐体作製
次は、筐体の作製を行います。
[使用した材]
(基板用)
⑫ MDF5.5mm : 「300mm × 300mm」 1枚
(筐体用)
⑬ MDF9mm : 「200mm × 300mm」 1枚
⑭ MDF9mm : 「200mm × 28.5cm」 2枚
⑮ MDF5.5mm : 「200mm × 300mm」 1枚
(昇降機構用)
⑯ ベアリング : 「内径8mm, 外径22mm」 2個
まずは、材⑭にベアリング用の穴をあけ(下画像)、
ベアリングを接着剤で固定します。
次に、基板⑫の一端に板⑬を接着剤で固定し、
両側に材⑭を接着します(下画像)。
※ベアリングも接着剤で取り付けます(青枠部分)
天板加工
続いて、天板まわりの加工を行います。
[使用した材]
(天板)
⑰ MDF5.5mm : 「300mm × 300mm」 1枚
(丸鋸取り付け用部品)
⑱ MDF9mm : 「25mm × 30mm」 6枚
⑲ 蝶番 :「25mm × 30mm」 3個
まずは、木片⑱と蝶番⑲を組み合わせ(下画像)、
(※蝶番の下に木片を取り付けておきます。)
丸鋸に貼り付けます(赤枠部分)。
その後、丸鋸の上面にテープを貼り(下画像)、
木片部分を天板に接着します(下画像)。
昇降機構の導入
次は、昇降機構の加工を行います。
[使用した材]
(連結用部品)
⑱ MDF9mm : 「25mm × 40mm」 1枚
⑲ 蝶番 : 2個
(昇降機構用部品)
⑳ 木板 : 「25mm × 100mm」 1枚
㉑ 木片 : 「3cm × 3cm」 1個
㉒ 鬼目ナット : 「M8」 1個
㉓ 長ねじ : 「M8, 32cm」 1本
(切断用部品)
㉔ フランジ・ロックナット : 1組
㉕ 鋸刃 : 「内径20mm、外径125mm」 1枚
最初に、材⑱-㉑を組み合わせます(下画像)。
そして、鬼目ナットM8を埋め込みます(下画像)。
(※下画像は誤ってM6を使用していました)
ベアリングに長ねじ通して、ナットで両端の固定と(橙色部分)、
木片の可動域を固定します(青枠部分)。
また、丸鋸本体と木板を接着剤で固定します(赤枠部分)。
実際に昇降してみて動きに問題がなければ、
鋸刃を装着して、天板に切り込みを入れます。
丸鋸を駆動させた状態で天板に切り込みを入れます。
危険性が高いため、怪我に注意して慎重に作業を行います。
クロスカットスレッドの導入
ここからは、材を安定して切るための仕組みを導入していきます。
切断精度に大きく影響する加工なので、丁寧に行います。
[使用した材]
(スライド機構用部品)
㉖ MDF : 「35mm × 300mm」 2枚
㉗ スライドレール : 「30cm」 2本
(材載せ板)
㉘ ベニヤ板5.5mm : 「300mm × 370mm」 1枚
㉙ 角材 : 「14mm × 45mm, 370mm」 2本
㉚ 角材 : 「14mm × 45mm, 60mm」 1本
まずは、材㉖を筐体の左右側面に接着剤で貼り付け、
スライドレールをビスで固定します(下画像赤枠参照)。
つぎに、スライドレールに両面テープを貼り、
材㉘を仮固定した後、レールを外してビスで固定します(下画像青枠)。
レールを戻し、載せ板㉘に角材を接着剤で固定します(下画像)。
(※安全性を高めるために、手前側はT字型に角材を貼り付けておきます。)
仕上げに、切り込みを入れたら完成です。
性能試験
最後に本作品の性能を測っていきます。
結果は、以下の通りです。
[騒音値]
鋸刃位置 最大(32mm)
18V : (0m 70dB / 1m 60dB)
21V : (0m 74dB / 1m 64dB)
24V : (0m 77dB / 1m 68dB)
鋸刃位置 半分(16mm)
18V : (0m 67dB / 1m 57dB)
21V : (0m 71dB / 1m 65dB)
24V : (0m 77dB / 1m 65dB)
[切削高さ]
38mm : 天板のみ
32mm : 載せ板使用時
[切削長さ]
14cm~22cm程度
締め
今回製作したミニテーブルソーは、以下のように仕上がりました。
・騒音値が57dB~68dB
・切削高さが32mm程度
・切削長さが14~22cm程度
「低出力・静音」のモーターを搭載しているため、
小さな材の加工を主目的とした運用に向いています。