丸鋸

静音丸鋸 (~71dB) の作り方① (スライドソー1-①用)

 

市販の丸鋸で木材を切断しているとき、

騒音が大きい」と感じることはありますか?

 

本記事では、スライドソー用の丸鋸を

自作する方法を解説しています。

 

騒音を抑えて木材を切断したい」という方は、

是非本記事をご覧ください。

 

 

また、「スライド式丸鋸の作製」については、

以下の記事で解説しています。

https://mogusann.com/2023/01/29/quite-slidetype-circular-saw-2-%e2%91%a0/?preview_id=3899&preview_nonce=0a777b1124&_thumbnail_id=4125&preview=true

 

 

 

 

静音丸鋸の説明

 

以下の仕様・性能で製作しました。

基本設計として、「小出力 / 静音」で作るため、

大きな負荷のかかる用途には不向きです。

[性能]

・騒音「56~71dB」 (丸鋸から1m離れた地点)

・切断深さ 28mm程度(鋸刃径:100mm)

 

[仕様]

・小出力(300W)のモーターを使用

パワーを下げる代わりに静音を向上させる

・「丸ベルト」により回転を伝動

⇒ プーリーの径でも自在に回転数を変更できる

 

 

丸鋸本体の作製①:骨組み

 

「伝導機構部分」と「鋸刃部分」を左右に分離します。

これによって、「丸鋸の小型化・メンテナンス性向上」の効果があります。

 

[使用した材]

① MDF9mm  : 「85mm × 105mm」         2枚

② ベアリング   : 「内径10mm、外径26mm」   2個

③ MDF5.5mm : 「85mm × 180mm」         2枚

 

①MDFに穴あけ加工を施し、

②ベアリングを接着剤で固定します(下画像)。

(※横幅105mm:鋸刃径+5mm程度で設計

[ベアリング用接着剤]

乾燥すると弾力のある状態になります。

メンテナンス時には、引き剥がすことが可能です。

左:Amazonで購入する方が安いです。

右:ホームセンターで購入する方が安いです。

 

そして、③MDFを接着剤で貼り付けます(下画像)。

(※ベアリングを固定している板は9mm厚の方が、

組み立て精度が向上しやすいです。)

 

 

伝動機構の導入

 

鋸刃の回転軸を変更するための加工を行うことで、

切断深さの増加 / 振動削減」の効果が得られます。

 

[使用した材]

④ スピンドルモーター:「300W」           1基

⑤ 回転軸      :                1本

⑥ アルミプーリー  :「内径8mm、外径30mm」   1個

⑦ アルミプーリー  :「内径10mm、外径30mm」 1個

⑧ 丸ベルト     :「径5mm、周長150mm」    1輪

 

まずは、④モーター/⑤回転軸を丸鋸に装着して、

⑥⑦プーリー/⑧丸ベルトを装着します(下画像)。

 

プーリーを固定したら、「ベアリング – シャフト」を

接着剤で固定します。

(※シャフト – ベアリングの僅かな隙間が振動発生を招きます。)

[回転軸固定用の接着剤]

メンテナンス時には、金槌で叩いて取外しできます。

振動発生を抑えることができる強度でもあります。

 

 

回転軸の作製

 

治具製作編では詳しく述べていませんでしたので、

ここで見ていきます。

 

[使用した材]

・ アルミ丸棒φ25:「長さ2cm程度」  1個

・ シャフトφ10  :「長さ15cm程度」   1本

 

まずは、アルミ丸棒 (20mm)に旋盤加工を行います(下画像参照)。

「M6のタップ (5mm分)」と「φ10 (15mm分)」

 

接着剤を塗布したシャフトを差し込み、固定します(下画像参照)。

そして、旋盤加工で鋸刃取付部分を切ります(下画像参照)。

[回転軸作製用の接着剤]

メタルロック:金属同士の固定に特化。非常に強く接着できます。

鋸刃が飛ばないためにも、しっかりとした物を使います。

 

 

丸鋸本体の作製②:箱型化

 

[使用した材]

⑨ MDF9mm     :「実寸合わせ」         1枚

⑩ MDF5.5mm  :「85mm × 実寸合わせ」   2枚

 

MDFを実寸合わせで切り取り、

ブッシュを取り付ける穴をあけます(下画像)。

 

そして、丸鋸の底面に接着剤で固定して、

リニアブッシュを取り付けます(下画像)。

その後、丸鋸上面にモーター線用に

穴をあけておきます(下画像赤枠)。

 

仕上げに、⑩MDFをテープで固定して(下画像赤枠)、

底面をアルミテープで覆います(下画像)。

 

 

性能試験

 

丸鋸本体が完成したので、「静音性能」をみていきます。

(※バッテリーの導入を考慮した電圧としています)

[騒音・振動]

10.8V (2700rpm) : (0m 72dB, 4.1 / 1m 61dB, 1.3)

14.4V (3600rpm) : (0m 76dB, 4.4 / 1m 60dB, 1.5)

18V   (4500rpm)  : (0m 79dB, 4.5 / 1m 70dB, 2.1)

 

[切断性能]

切断深さ:32mm程度(鋸刃100mm径)

 

 

使用した部品

 

最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。

部品選定・自作の参考にしてみて下さい。

 

[Amazonで購入したもの]

①② シャフトφ10 / アルミ丸棒φ25 

回転軸の作製には以下の2つを使用しています。

※ただし、芯を出すためには旋盤加工が必要です

 

 

また、以下に述べている接着剤(中央)と併用することで、

更なる振動抑制に繋がります。

 

 

③ 接着剤

それぞれに長所短所があるため、

使用箇所に応じて使い分けていきます。

  

 

左:「シャフト – アルミ丸棒」間での接着

中:「回転軸 – ベアリング」間での接着

右:「丸鋸(MDF) – ベアリング」間での接着

 

 

④ 鋸刃

「モトユキのグローバルソー100mm」を使用しました。

これは、木材以外にもアルミ板や鉄などの素材も切断できる仕様であり、

加工の幅を広げてくれます。

 

 

[Aliexpressで購入したもの]

⑤⑥ スピンドルモーター / アルミプーリー

モーターはAmazonでも購入することができますが、

「価格」が倍ほどするので、Aliexpressでの購入がおすすめです。

(※納期は2週間程度かかります。)

 

アルミプーリーに関しては、丸ベルトに対応した品を購入できます。

Amazonでは、タイミングベルト用のものが多いので注意が必要です。

 

 

[楽天で購入したもの]

⑦ ベアリング

複数個購入しても、送料が210円と一定であるため、

大量購入すれば、Amazonよりも単価を抑えることができます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ベアリング NMB 6000ZZ 内径10mm
価格:176円(税込、送料別) (2023/1/11時点)

楽天で購入

 

 

 

[MISUMIで購入したもの]

⑧ 丸ベルト (φ5 / 150mm)

MISUMIでは、ベルトの周長を好きな長さで注文できるため、

設計の自由度がより高くなります。

 

ただ、伸縮性が無いため、

負荷が大きくかかる用途には不向きなベルトです。

 

[モノタロウで購入できるもの]

「モノタロウ」では、エンドレスタイプの丸ベルトがあります。

こちらは伸縮性があるため、大きな負荷にも対応しやすくなります。

 

ただ、周の長さが決まっているため、設計に制約がかかります。

 

 

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