市販の丸鋸で木材を切断しているとき、
「騒音が大きい」と感じることはありますか?
騒音を抑えた電動工具として、「ミニテーブルソー」があります。
しかし、市販品では以下の弱点があります。
・切断できる高さが3cm未満
・鋸刃の内径が20mmでない
・刃の昇降が不便である
・天板がやや狭い
そこで本記事では、以下の対策を施した静音ミニテーブルソー(65dB)
を自作する方法を解説しています。
・内径20mmの鋸刃を装着
⇒ 鋸刃の選択の幅が広がる
⇒ 切断できる高さが3cm以上にできる
・昇降ハンドルを装着
⇒ 操作性の向上
・天板は好みの広さで取り付け
⇒ 作業環境に応じて設定可能
⇒ 天板取替で変更も可能
「騒音を抑えて木材を切断したい」という方は、
是非本記事をご覧ください。
また、本作品に用いた「静音丸鋸:ミニテーブルソー3」の製作方法は、
以下の記事からご覧ください。
なお、「材料・部品」に関しては、記事の最後に記していますので、
目次をクリックしてご覧下さい。
本作品 (3) の性能
本作品 (3)の性能は、以下のとおりです。
[性能]
・騒音「~65dB」(完成状態での騒音値 : 1m地点)
・切断高さ 34mm (125mm径)
筐体作製
[使用した材]
⑪ MDF9mm : 「450mm × 450mm」 1枚
⑫ アルミフレーム: 「2020, 長さ390mm」 8本
⑬ アルミフレーム: 「2020, 長さ200mm」 4本
まずは、⑪MDFにフレーム取付用の穴をあけて、
⑫⑬アルミフレームを組み立てます(下画像)。
[使用した材]
⑭ MDF9mm : 「200mm × 430mm」 2枚
⑮ ベアリング : 「内径10mm, 外径26mm」 2個
⑯ MDF9mm : 「200mm × 450mm」 2枚
続いて、⑭⑯MDFにフレーム/ベアリング用の穴をあけて、
⑮ベアリングを接着剤で固定します(下画像)。
仕上げに、⑭⑯MDFをアルミフレームに取り付ければ
筐体作製は完了です(下画像)。
昇降機構の導入①:部品作製
[使用した材]
⑰ 木片 :「25mm × 30mm」 5個
⑱ 蝶番 :「25mm × 30mm」 4個
⑲ アルミ板5mm:「25mm × 100mm」 1枚
⑳ アルミ角材 :「25mm × 30mm」 1個
まず、⑰木片/⑱蝶番を組み合わせて、
以下の部品を「2個」作製して(下画像)、
丸鋸に連結します(下画像赤枠)。
次に、以下の加工を施します(下画像)。
・⑱蝶番の取り付け穴をφ6に拡張します(青枠)。
・⑲アルミ板の両端にM4のタップ加工を施します(赤枠)。
・⑳アルミ角材にM4とM10のタップ加工を施します(赤枠/黒枠)。
⑰木片/⑱蝶番/⑲アルミ板/⑳アルミ角材を組み合わせて、
以下の部品をつくります(下画像)。
天板まわりの加工
[使用した材]
⑪ MDF9mm :「450mm × 450mm」 1枚
丸鋸を⑪MDFに連結して(下画像)、
筐体の上面にビス留めします。
昇降機構の導入②:組み立て
[使用した材]
㉑ 全ネジM10 :「長さ50cm程度」 1本
㉒ 昇降用部品
上下反転させた筐体のベアリングに㉑全ネジを通して、
㉒昇降部品の木片を丸鋸に接着します(下画像赤枠)。
そして、ダブルナットで昇降範囲の
始点終点を決定して(下画像青枠)、
筐体側面に電線用の穴をあけます(下画像赤枠)。
その後、丸鋸を駆動させて、
天板に切り込みを入れます(下画像)。
仕上げに、全ネジを程よい長さに切断して、
昇降用ハンドルを取り付けます(下画像)。
アルミフェンスの導入
ここからは、材を「直角・同寸法」で
切断するための治具を作製していきます。
今回は、アルミフェンス方式を採用しました。
木材切断専用の治具ですが、次の利点があります。
・切断できる材の大きさの限界幅が広い
・直角の調整が比較的簡単
[使用した材]
㉓ アルミ平板3mm厚 :「長さ5cm程度」 2本
㉔ アルミフレーム2040 :「長さ600mm」 1本
㉕ アルミフレーム2020 :「長さ600mm」 1本
まずは、㉓アルミ平板に穴をあけて、
㉔㉕アルミフレームを互いに連結します(下画像)。
その後、アルミフレームが鋸刃と平行になるように、
アルミ平板の角度を調整し、天板に取り付けます(下画像)。
性能試験
最後に本作品の性能を測定したところ、
以下の結果となりました。
(※バッテリーの導入を考慮した電圧設定にしています)
[騒音・振動]
鋸刃位置 最大(34mm)
10.8V : (0m 60dB・1.9 / 1m 59dB・0.9)
14.4V : (0m 64dB・1.9 / 1m 58dB・1.0)
18V : (0m 66dB・1.9 / 1m 65dB・1.1)
鋸刃位置 半分(17mm)
10.8V : (0m 59dB・2.8 / 1m 59dB・0.9)
14.4V : (0m 67dB・2.7 / 1m 57dB・1.0)
18V : (0m 67dB・2.1 / 1m 63dB・1.2)
「筐体の拡大」と「アルミフレーム骨格」によって、
静音・防振性能が向上(~65dB)しました。
騒音値・振動値が十分に抑えられているため、
満足のできる出来に仕上がりました。
使用した部品
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[楽天市場で購入したもの]
① ベアリング
筐体の昇降機構用の部品として使用します。
内径10mmであれば、丸鋸のものと統一できます。
[ホームセンターで購入したもの]
② 蝶番
丸鋸の回転機構用の部品として使用します。
取り付けがしやすい上に、ガタが少ないのでおすすめです。
(※下画像はイメージです。)
[モノタロウで購入したもの]
③ アルミフレーム
アルミフェンスに使用します。
「作製の容易さ」と「直角調整のしやすさ」が利点で、
素早く治具を用意したい方にオススメです。