市販の丸鋸で木材を切断しているとき、
「騒音が大きい」と感じることはありますか?
騒音が小さい「ミニテーブルソー」がありますが、
市販品では以下の弱点があります。
・切断できる高さが3cm未満
・鋸刃の内径が20mmでない
・刃の昇降が不便である
・天板がやや狭い
そこで本記事では、以下の対策を施した静音ミニテーブルソー(~68dB)
を自作する方法を解説しています。
・内径20mmの鋸刃を装着
⇒ 鋸刃の選択の幅が広がる
⇒ 切断できる高さが3cm以上にできる
・天板は好みの広さで取り付け
⇒ 作業環境に応じて設定可能
⇒ 天板取替で変更も可能
「騒音を抑えて木材を切断したい」という方は、
是非本記事をご覧ください。
また、本作品に用いた「静音丸鋸:ミニテーブルソー4用」の製作方法は、
以下の記事からご覧ください。
なお、「材料・部品」に関しては、記事の最後に記していますので、
目次をクリックしてご覧下さい。
本作品 (4) の性能
本作品 (4)の性能は、以下のとおりです。
[性能]
・騒音「~68dB」(完成状態での騒音値 : 1m地点)
・切断高さ 36mm (アルミフェンス使用状態)
・切断高さ 30mm (クロスカットスレッド使用状態)
[大きさ]
・横幅:26cm
・奥行:32cm
・高さ:16cm
また、従来の昇降機構の構造を見直すことで、
ミニテーブルソーの全高を低くすることに成功しました。
この結果、市販のミニテーブルソーの高さにより近くなりました。
筐体作製:骨組み
[使用した材]
⑫ アルミフレーム2020:「100mm」 4本
⑬ アルミフレーム2020:「300mm」 4本
⑭ アルミフレーム2020:「200mm」 4本
⑫-⑭アルミフレームを連結して、
筐体の骨組みを組み立てます(下画像)。
筐体作製:外壁加工
[使用した材]
⑮ MDF9mm :「140mm × 300mm」 2枚
⑯ MDF9mm :「実寸 × 300mm」 1枚
⑰ MDF9mm :「実寸 × 150mm」 2枚
まずは、⑮-⑰MDFに取付穴をあけて、
アルミフレームに固定します(下画像)。
なお、赤枠部分に組んでいたアルミフレームは、
丸鋸に干渉するため外しました。
天板まわりの加工
[使用した材]
⑱ 木片 :「25mm × 30mm」 4個
⑲ 蝶番 :「25mm × 30mm」 2個
⑳ MDF9mm : 「300mm × 320mm」 1枚
⑱木片/⑲蝶番を組み合わせます(下画像)。
続いて、⑳MDFに切り込みを入れて、
丸鋸に連結し(下画像赤枠)、
筐体の上面にビスで固定します。
昇降機構の導入①:部品作製
[使用した材]
⑱ 木片 :「25mm × 30mm」 1個
⑲ 蝶番 :「25mm × 30mm」 2個
㉑ アルミ板5mm:「25mm × 85mm」 1枚
㉒ アルミ角材 :「25mm × 30mm」 1個
材に以下の加工を施します。
・⑱木片に蝶番を取付(下画像右)
・㉑アルミ板の両端にM4のタップ加工(下画像中央)
・㉒アルミ角材にM4とM10のタップ加工(下画像左)
⑱木片/⑲蝶番/㉑アルミ板/㉒アルミ角材を組み合わせて、
以下の部品をつくります(下画像)。
[使用した材]
㉓ 木片 :「50mm × 55mm」 3個
② ベアリング : 「内径10mm、外径26mm」 2個
㉓木片に②ベアリング用の穴をあけて、
「H型」に接着します(下画像)。
昇降機構の導入②:組み立て
[使用した材]
㉔ 全ネジM10 :「長さ20cm程度」 1本
まずは、筐体の⑰MDFに穴をあけて、
ベアリングを接着剤で固定します(下画像)。
そして、筐体のベアリングに㉔全ネジを通した状態で、
H型木片を筐体の底面に接着します(下画像赤枠)。
また、全ネジに昇降部品を通して、
木片部分を丸鋸の底面に接着します(上画像青枠)。
仕上げに、筐体側面に
電線用の穴をあけて(下画像赤枠)、
全ネジを程よい長さに切断して、
昇降用ハンドルを取り付けます(下画像)。
治具作成①:アルミフェンス
まずは、アルミフェンスの作製を行います。
広い板の切断に適した補助道具ですが、次の利点があります。
・切断できる材の大きさの限界幅が広い
・直角の調整が比較的簡単
[使用した材]
㉕ アルミ平板3mm厚 :「長さ5cm程度」 2本
㉖ アルミフレーム2040 :「長さ400mm」 1本
㉗ アルミフレーム2020 :「長さ400mm」 1本
まずは、㉕アルミ平板に穴をあけて(下画像)、
㉖㉗アルミフレームを連結しつつ、
アルミフレームが鋸刃と平行になるように、
アルミ平板の角度を調整し、天板に取り付けます(下画像)。
治具作成②:クロスカットスレッド
続いて、クロスカットスレッドを作製していきます。
横長な材の切断に適した補助道具で、次の利点があります。
・横方向に切断できる限界幅が広い
・丸棒や四角棒などの形状にも対応可能
・作業性が良い
・安全な加工を行いやすい
[使用した材]
㉘ 角材6mm厚 :「幅8mm、長さ30cm」 2本
㉙ MDF5.5mm :「300mm × 320mm」 1本
㉚ 角材14mm厚 :「幅45mm、長さ30cm」 2本
まずは、㉘角材を㉙MDFに接着します。
(このとき、天板を挟んだ状態で接着します。)
続いて、㉚角材を接着(赤枠部分)します。
そして、クランプなどで角材を固定(青枠部分)して、
ある程度切り込みを入れます。
直角が出ていることを確認出来たら、
角材をビスで固定します。
仕上げに、鋸刃に接触しないために、
木片を角材に接着します(下画像赤枠部分)。
性能試験
最後に本作品の性能を測定したところ、
以下の結果となりました。
(※バッテリーの導入を考慮した電圧設定にしています)
[騒音・振動]
鋸刃位置 最大(36mm)
10.8V : (0m 64dB・3.9 / 1m 56dB・0.8)
14.4V : (0m 70dB・3.3 / 1m 63dB・1.0)
18V : (0m 74dB・4.0 / 1m 68dB・1.2)
鋸刃位置 半分(18mm)
10.8V : (0m 65dB・4.0 / 1m 55dB・1.0)
14.4V : (0m 72dB・4.1 / 1m 61dB・1.2)
18V : (0m 76dB・5.0 / 1m 68dB・2.1)
まとめ
本作品では、以下の特徴を備えており、
性能・機能面では十分であると感じました。
・「クロスカットスレッド」と「アルミフェンス」の併用
⇒ 「広い材」や「横長/丸い材」の加工に対応可能
・「鋸刃の昇降機構」を導入
⇒ 溝切加工が可能
使用した部品
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[楽天市場で購入したもの]
① ベアリング
筐体の昇降機構用の部品として使用します。
内径10mmであれば、丸鋸のものと統一できます。
[ホームセンターで購入したもの]
② 蝶番
丸鋸の回転機構用の部品として使用します。
取り付けがしやすい上に、ガタが少ないのでおすすめです。
(※下画像はイメージです。)
[モノタロウで購入したもの]
③ アルミフレーム
アルミフェンスに使用します。
「作製の容易さ」と「直角調整のしやすさ」が利点で、
素早く治具を用意したい方にオススメです。