市販の丸鋸で木材を切断しているとき、
「騒音が大きい」と感じることはありますか?
騒音が小さい「ミニテーブルソー」がありますが、
市販品では以下の弱点があります。
・騒音 / 振動がやや大きい(80dB/2.6程度)
・切断できる高さが3cm未満
・鋸刃の内径が20mmでない
・天板がやや狭い
そこで本記事では、静音ミニテーブルソー(~68dB)
を自作する方法を紹介します。
・内径20mmの鋸刃を装着
⇒ 鋸刃の選択の幅が広がる
⇒ 切断高さが3cm以上確保できる
・天板は好みの広さで取り付け
⇒ 作業環境に応じて設定可能
⇒ 天板取替で変更も可能
「騒音を抑えて木材を切断したい」という方は、
是非本記事をご覧ください。
また、本作品に用いた「静音丸鋸:ミニテーブルソー5」の
製作方法は、以下の記事からご覧ください。
なお、「材料・部品」に関しては、記事の最後に記していますので、
目次をクリックしてご覧下さい。
本作品 (5) の性能
本作品 (5)の性能は、以下のとおりです。
[性能]
・騒音「~68dB」(完成状態での騒音値 : 1m地点)
・振動「0.9~1.0」(完成状態での振動値 : 1m地点)
・切断高さ 36mm (アルミフェンス使用状態)
・切断高さ 30mm (クロスカットスレッド使用状態)
※私が所有している市販品のミニテーブルソーは、
騒音振動が1m地点で「80dB, 2.6」ほどです。
[大きさ]
・横幅:35cm
・奥行:30cm
・高さ:15.5cm
従来の昇降機構の構造を見直すことで、
ミニテーブルソーの全高を低くすることに成功しました。
この結果、市販のミニテーブルソーの高さにより近くなりました。
1-③との比較を行うことで、アルミフレーム骨格が
「静音化 / 制振化」に恩恵を与えるのかを見ていきます。
ちなみに、結果は「費用対効果が薄い」でした。
筐体作製
[使用した材]
⑪ MDF9mm :「135mm × 300mm」 2枚
⑫ 木片 :「3cm × 5cm」 2枚
⑬ MDF9mm :「300 × 300mm」 1枚
⑭ MDF9mm :「実寸 × 300mm」 2枚
まずは、⑪MDF/⑫木片 に
ベアリング用の穴をあけます(下画像)。
そして、⑬⑭MDFを「手前 / 奥側」に接着し(下画像)、
⑭MDFは、「左右側」にビスのみで固定します。
また、⑫木片を以下のように、
「T字型」に接着しておきます(下画像)。
天板まわりの加工
[使用した材]
⑮ 木片 :「25mm × 30mm」 4個
⑯ 蝶番 :「25mm × 30mm」 2個
⑰ MDF9mm : 「300mm × 350mm」 1枚
まずは、⑮木片/⑯蝶番を組み合わせます(下画像)。
続いて、⑰MDFの上に丸鋸を配置して、
先ほど作製した部品を接着して連結します(下画像赤枠)。
仕上げに、天板に鋸刃用の切り込みを入れて、
筐体にビス止めします(下画像)。
※ここで、切り込み溝を拡張しておくと、静音化につながります。
昇降機構の導入①:部品作製
[使用した材]
⑮ 木片 :「25mm × 30mm」 1個
⑯ 蝶番 :「25mm × 30mm」 2個
⑱ アルミ板5mm:「25mm × 85mm」 1枚
⑲ アルミ角材 :「25mm × 30mm」 1個
材に以下の加工を施します。
・⑮木片に⑯蝶番を取付(下画像右)
・⑱アルミ板の両端にM4のタップ加工(下画像中央)
・⑲アルミ角材にM4とM10のタップ加工(下画像左)
⑮木片/⑯蝶番/⑱アルミ板/⑲アルミ角材を組み合わせて、
以下の部品をつくります(下画像)。
昇降機構の導入②:組み立て
[使用した材]
⑳ 全ネジM10 :「長さ20cm程度」 1本
まずは、筐体のベアリングに⑳全ネジを通し、
「T型木片」を筐体の底面に接着します(下画像赤枠)。
また、全ネジに昇降部品を通して、
木片部分を丸鋸の底面に接着し(上画像緑枠)、
ダブルナットで全ネジを位置決めします(上画像青枠)。
仕上げに、筐体壁面に
電線用の穴をあけて(下画像赤枠)、
全ネジを程よい長さに切断して、
昇降用ハンドルを取り付けます(下画像)。
治具作成①:アルミフェンス
まずは、アルミフェンスの作製を行います。
広い板の切断に適した補助道具ですが、次の利点があります。
・切断できる材の大きさの限界幅が広い
・直角の調整が比較的簡単
[使用した材]
㉑ アルミ平板3mm厚 :「長さ5cm程度」 2本
㉒ アルミフレーム2040 :「長さ400mm」 1本
㉓ アルミフレーム2020 :「長さ400mm」 1本
まずは、㉑アルミ平板に穴をあけて(下画像)、
㉒㉓アルミフレームを連結しつつ、
アルミフレームが鋸刃と平行になるように、
アルミ平板の角度を調整し、天板に取り付けます(下画像)。
治具作成②:クロスカットスレッド
続いて、クロスカットスレッドを作製していきます。
横に長い材の切断に適した補助道具で、次の利点があります。
・横方向に切断できる限界幅が広い
・丸棒や四角棒などの形状にも対応可能
・作業性が良い
・安全な加工を行いやすい
[使用した材]
㉔ 角材6mm厚 :「幅8mm、長さ30cm」 2本
㉕ MDF5.5mm :「300mm × 370mm」 1本
㉖ 角材14mm厚 :「幅45mm、長さ30cm」 2本
まずは、㉔角材を㉕MDFに接着します(下画像)。
続いて、㉖角材を1本だけ接着(赤枠部分)し、
クランプやテープなどで角材を固定(青枠部分)します。
試し切りを行って、材が直角に切れていることを確認できたら、
角材をビスで固定して完成です(下画像)。
性能試験
最後に本作品の性能を測定したところ、
以下の結果となりました。
(※バッテリーの導入を考慮した電圧設定にしています)
[騒音・振動]
鋸刃位置 最大(36mm)
10.8V (2700rpm) : (0m 60dB・2.5 / 1m 53dB・0.9)
14.4V (3600rpm) : (0m 67dB・2.0 / 1m 63dB・0.9)
18.0V (4500rpm) : (0m 72dB・2.3 / 1m 68dB・0.9)
鋸刃位置 半分(18mm)
10.8V (2700rpm) : (0m 55dB・3.1 / 1m 53dB・0.9)
14.4V (3600rpm) : (0m 68dB・3.0 / 1m 62dB・1.0)
18.0V (4500rpm) : (0m 67dB・2.8 / 1m 65dB・1.0)
使用した部品
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[楽天市場で購入したもの]
① ベアリング
筐体の昇降機構用の部品として使用します。
内径10mmであれば、丸鋸のものと統一できます。
[ホームセンターで購入したもの]
② 蝶番
丸鋸の回転機構用の部品として使用します。
取り付けがしやすい上に、ガタが少ないのでおすすめです。
(※下画像はイメージです。)
[モノタロウで購入したもの]
③ アルミフレーム
アルミフェンスに使用します。
「作製の容易さ」と「直角調整のしやすさ」が利点で、
素早く治具を用意したい方にオススメです。