木材の切断をしている際に、「騒音が気になる」と思うことはありますか?
今回は、切断時の騒音に対策を施したスライドソーを製作しました。
前作4の結果を考慮して、以下2つの方法で更なる静音効果を狙いました。
・遮音材を2枚重ねる ⇒「厚み・重量」を増やす
・遮音板の設計を見直して「隙間」を減らす
前作と比較して、切断時の騒音が-9dB減少しました。
さらに、重量が増したことにより、丸鋸由来の振動も低減できました。
今回の「静音スライドソー(~53dB:無負荷 / 62dB:切断時)」ですが、
本記事を読めば、製作方法が分かります。
本作品 (5) の性能
本作品 (5)の性能は、以下のとおりです。
[性能]
・騒音「~53dB」 (無負荷状態での騒音値 : 1m地点)
・騒音「62dB」 (切断状態での騒音値 : 1m地点)
・振動「1.0」(机真下での振動値)
・切断深さ 40mm程度
・切断長さ 450mm (厚さ9mmまで)
[本作品5の大きさ]
・奥行:45cm
・横幅:70cm
・高さ:23cm
丸鋸作製
[使用した材]
①MDF9mm :「105mm × 130mm」 2枚
②MDF9mm :「105mm × 85mm」 2枚
③MDF9mm :「120mm × 58mm」 2枚
④MDF9mm :「120mm × 120mm」 1枚
⑤ベアリング :「内径10mm、外径26mm」 2個
①・④MDFに穴をあけて、
⑤ベアリングを装着します(下画像)。

その後、①-④MDFを接着剤で固定します(下画像参照)。

部品取付
[使用した材]
⑥タイミングベルト :「194-2GT-6」 1個
⑦タイミングプーリー:「2GT/30歯、内径8mm」 1個
⑧タイミングプーリー:「2GT/40歯、内径10mm」 1個
⑨シャフトカラー :「内径10mm」 1個
⑩回転軸φ10 :「フランジφ20/φ30mm」 1個
⑪MDF5.5mm :「実寸合わせ」 5種類
丸鋸に⑥-⑩各部品を装着します(下画像参照)。

部品の組み立てが完了したら、
仕上げに、蓋用の⑪MDFをビス止めしていきます。
筐体作製:枠組
[使用した材]
[アルミフレーム2020]
⑫長さ 200mm 4本
⑬長さ 450mm 2本
⑭長さ 600mm 4本
[アルミフレーム2040]
⑮長さ 150mm 1本
⑯長さ 200mm 2本(直角ガイド用)
⑰長さ 450mm 2本(直角ガイド用)
⑫-⑰アルミフレームを使って、
以下のように枠を組立てます。

ちなみに、直角ガイド用アルミフレームは、
以下のように連結しています。

基板作製
[使用した材]
[シナベニア板]
⑱厚み14.5mm 長さ55mm 1枚
⑲厚み14.5mm 長さ85mm 1枚
⑳厚み14.5mm 長さ90mm 1枚
㉑厚み14.5mm 長さ120mm 1枚
[べニア板]
㉒厚み9mm :「長さ450mm」 1枚
㉓tスロットトラック:「30mm規格、40cm」 1本
㉔ホールドダウンクランプ: 1個
ベニア板の加工
シナベニア板9mm厚と5.5mm厚を接着剤で貼り合わせ、
切り取ることで、⑱-㉑シナベニアを作製しました。
⑱-㉒べニア板を接着剤で貼り合わせます(下画像)。

基板が完成したら、アルミフレームの直角ガイドに沿えた状態で、
取付用の穴φ6をあけ、皿ねじM4で骨組みのフレームに固定します。
仕上げに、基板に㉓tスロットトラックをビス止めして、
㉔ホールドダウンクランプを装備したら完了です(下画像)。
※レール下の溝はクランプが収まらないため、無加工で置いてます。

筐体作製:スライド機構
[使用した材]
㉕木片23.5mm :「幅15mm・長さ5cm」 4個
㉖リニアガイドレール :「長さ50cm」 1式
・基板
・丸鋸
㉕木片を台座にして、
㉖レールを仮固定します(下画像)。

角度調整を行い、完了したらレールを固定します。
※最後に試し切りをして微調整を行います。
*基板のtスロットトラック用の溝に鋸刃が通るように仮固定し、
スコヤを用いて「直角」と「平行」に調整します。
筐体作製:送りねじ機構
[使用した材]
㉗木片9mm :「幅25mm、長さ4cm・5cm」 各1個
㉘鬼目ナット:「M4、8mm」 1個
㉙送りねじ :「長さ500mm、径8mm」 1式
㉚木板9mm :「幅20mm、長さ100mm」 2個
㉛ベアリング:「内径8mm、外径16mm」 2個
㉗木片に㉘鬼目ナットと㉙送りねじ用の取付穴をあけ、
接着剤でL字型に固定します(下画像)。

㉚木板に「ベアリング穴φ16+φ10」と「フレーム取付穴φ6」をあけ、
接着剤で㉛ベアリングを固定します(下画像)。

ベアリングホルダー(青枠部分)を⑮⑯アルミフレームに固定し、
㉙送りねじとブロック(赤枠部分)を丸鋸に取付けます(下画像参照)。

筐体作製:遮音壁作製
[使用した材]
㉜遮音シート:「厚さ3mm、30cm×30cm」
㉝MDF9mm :「長さ45cm、幅20cm」 2枚
㉞MDF9mm :「長さ67cm、幅23cm」 2枚
㉟MDF9mm :「長さ45cm、幅67cm」 2枚
㊱持ち手 : 2個
㉜遮音シート㉜‐㉟MDFに貼り(下画像)、
取付穴φ6をあけます。
※遮音シートは2枚重ねて、6mm厚としています。

㉞MDFに㊱持ち手の穴加工および取付ができたら、
遮音壁の完成です(下画像)。

自動切断:自動停止機能
[使用した材]
㊲電線 :赤白・赤黒 各2m、白1m
㊳リミットスイッチ : 2個
㊴木片9mm : 2個
㊵モール : 1個
㊲電線を㊳リミットスイッチにはんだ付けします。
NO-NO:リミットスイッチ同士
NC-NC:リミットスイッチ同士
COM :端子台IN / 端子台OUT
その後、スイッチを㊴木片に取り付け(下画像)、
アルミフレームの始点・終点側に1個ずつ配置します。
※電線は㊵モール内に通し、丸鋸に干渉しないように配線します。

自動切断機構:制御盤作製
[使用した材]
㊶MDF9mm :「40mm × 100mm」 2枚
㊷MDF5.5mm :「40mm × 115mm」 2枚
㊸MDF5.5mm :「110mm × 145mm」 1枚
㊹MDF9mm :「110mm × 115mm」 1枚
㊺端子台4極 : 1個
㊻ONOFFスイッチ:送りねじ用 1個
㊼トグルスイッチ :「6極」 1個
㊽USBオスコネクター: 1個
㊾ONOFFスイッチ:丸鋸用 1個
㊿バッテリーアダプター: 1個
㊶-㊸MDFで箱型に接着し、
㊺-㊾各部品を取り付けていきます(下画像)。

㊹MDFをビスで固定し、
「丸鋸モーター用(赤黒)」と「㊽コネクタ(白)」の電線を外に出します。
仕上げに、㊿バッテリーアダプターをビスで留め、結線したら完了です(下画像)。

制御盤正面のボタン配置は、↓の感じです。

自動切断機構:動力系統
[使用した材]
51. モーター:「12V・3000rpm」 1基
52. モーターブラケット: 1個
53. プーリー:「2GT/30歯、内径5mm」 1個
54. 木片 : 1個
55. プーリー:「2GT/40歯、内径8mm」 1個
56. べルト:「2GT、周長516mm」 1個
51.モーターに52.ブラケット / 53.プーリーを装着します。
そして、54.木片に固定し、アルミフレームに取付けます(下画像)。

その後、送りねじ側に55.プーリーを装着し、
56.ベルトをかけたら完了です。
また、「リミットスイッチ」と「775モーター」そして、
「丸鋸用モーター」の電線を外に出すための穴φ10をあけます。
動作確認
㊽USBコネクタにモバイルバッテリーを挿し、
制御盤を操作して、775モーターを駆動させます。
リミットスイッチが正常に作動して(下画像)、
モーターが自動停止することを確認したら完了です。

直角・平行調整
最終仕上げとして、直角度・平行度の調整を行います。
まずは、定規を用いてレール間の距離が同じになるように、
固定台座の位置を変更します。
その後、丸鋸を終点側に配置し、
スコヤを鋸刃に当てて直角となるように調節します。
仕上げに、実際に試し切りを行い、以下の2点を確認します。
①切断後の材が90度であること
②切断された材の幅が均一であること
性能試験
[騒音・振動] 18.0V ⇒ 13.5V(3375rpm) 減速後の値
無負荷: (0m 55dB・1.0 / 1m 53dB・0.9)
切断時 : (0m 67dB・1.0 / 1m 62dB・0.9)
使用した部品:一覧
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[Amazonで購入したもの]
①アルミ丸棒φ30
回転軸の作製には以下の2つを使用しています。
(※ただし、芯を出すためには旋盤加工が必要です)
②タイミングプーリー
丸鋸用モーターの変速用・丸鋸の自走機能用に使用します。
GT2という型のものを選びました。
③遮音シート
3mm厚みのシートを2枚重ねて使用しています。
遮音壁の全体の厚み調整の意味合いも兼ねています。
④USBコネクター
使用するバッテリーごとに製品があるため、
所有しているものに合わせて購入してください。
⑤送りねじ:600mm
送りねじは径8mmのものを使用しました。
全ねじよりも滑らかに進んでいきます。
⑥リニアガイドレール600mm
この種類のレールが一番剛性があるように感じます。
滑走する距離が長いため、たわみを避けるためにこれを選びました。
[Aliexpressで購入したもの]
⑦スピンドルモーター
「モーター」はAmazonでも購入することができますが、
「価格」が倍ほどするので、Aliexpressでの購入がおすすめです。
(※納期は2週間程度かかります。)
[楽天市場で購入したもの]
⑧ベアリング
「ベアリング10mm」は丸鋸用に、
「ベアリング8mm」は送りねじ用として使います。
⑨チップソー
「神ノ牙」は切断時に生じる騒音を吸収する効果があるので、
静音性にこだわりたいという方にオススメです。
さらに、切削時の負荷が軽減されるチップが付いており、
より軽い手ごたえで切断できます。
[モノタロウで購入したもの]
⑩シャフトφ10
モノタロウのシャフトは径が安定しているので、
ベアリングに確実に通せます。
⑪アルミフレーム
「アルミフレーム」はガイドフレームに使います。
金属なので反りによる精度低下を抑えられます。
⑫タイミングベルトGT2
モノタロウであれば、様々な種類のベルトを購入できます。
⑬セットカラー
幅が5mmのカラーはモノタロウで入手できます。
丸鋸の回転軸の固定に使用します。