電動ドリルを使用している方で、
以下の点が気になることはありますか?
・「電動ドリル / ミニボール盤」の騒音が気になる!
・「卓上ボール盤」は重くて持ち運びしにくい!
・面積の大きい材も加工したい!
・場所の制限がない「バッテリー式」があればなぁ~
本記事を読めば、上記の課題を解消した
「蓄電池式静音ドリルプレス(~66dB)」の作り方が分かります。
ぜひ、オリジナルのドリルプレス(ボール盤)を製作してみませんか?
[本作品の特徴]
①駆動時の騒音が小さい
②比較的軽量で持ち運びしやすい(本作5~6kg)
(ミニボール盤5kg、卓上ボール盤20kg)
③幅広い種類の材に穴あけ加工が可能
④バッテリー式のため、使用場所に制限が無い
本作品の性能
[性能]
・騒音 :「57dB」 (完成状態での騒音値 : 1m地点)
・振動 :「0.9」(完成状態での振動値 : 1m地点)
・昇降幅 :80mm(基準:ドリルチャック先端)
・フトコロ:105mm
[筐体の大きさ]
・横幅:30cm
・奥行:46cm
・高さ:32cm
駆動部作製
①木材カット / 接着
まずは、ドリルプレスの外枠を組み立てていきます。
騒音が一番発生しそうな「減速部分」を覆う意味でも重要な部品です。
[使用した材]
① MDF9mm:「80mm × 60mm」 1枚
② MDF9mm:「80mm × 130mm」 2枚
③ MDF9mm:「80mm × 100mm」 1枚
④ MDF9mm:「80mm × 160mm」 1枚
⑤ MDF9mm:「80mm × 110mm」 1枚
⑥ ベアリング:「内径20mm / 外径37mm」2個
まずは、①-⑤MDFを用意します(下画像)。

①・②MDF(1枚)に穴をあけます(下画像)。

そして、②-④MDFを接着します(下画像)。

接着したら、⑤MDFと④MDFを重ねて切り、
端の長さを揃えます(下画像)。

仕上げに、①・⑤MDFを以下の形に接着し、
⑥ベアリングを装着したら完了です(下画像)。

②部品組立
[使用した材]
⑦ スピンドルモーター:「200W」 1基
⑧ タイミングプーリー:「内径8mm / 30歯」 1個
⑨ タイミングプーリー:「内径20mm / 100歯」 1個
⑩ タイミングベルト :「幅6mm / 270mm」 1個
⑪ シャフトカラー :「内径20mm」 2個
⑫ チャックアーバー :「S軸 2×ST20」 1個
⑬ ドリルチャック :「10MG JT.NO.2S」 1個
⑦-⑬各部品を駆動部に装着します(下画像)。

③仕上げ
[使用した材]
⑭ MDF5.5mm:「実寸合わせ」 2種類
⑮ MDF9mm :「115mm × 120mm」 1枚
⑭MDFは「駆動部側面側」および「モーター後ろ側」に
ビスで側面に固定します。
また、⑮MDFはブッシュ取付用の穴をあけ、
モーター背面に接着します(下画像)。

昇降機構導入
①支柱作製
[使用した材]
⑯ MDF9mm :「130mm × 300mm」 1枚
⑰ MDF9mm :「75mm × 130mm」 2枚
⑱ MDF9mm :「85mm × 300mm」 2枚
⑲ MDF9mm :「85mm × 190mm」 1枚
まずは、⑰MDFにシャフト用の穴φ10をあけます(下画像)。

次に、⑯⑰MDFを「コの字型」に接着します(下画像)。

その後、⑱MDFのうち、片面は接着剤で貼り付けて、
もう一枚は、蝶番で連結します(下画像)。

②部品組立
[使用した材]
⑳ シャフト :「φ10mm / 300mm」 2枚
㉑ リニアブッシュ :「内径10mm用」 4個
㉒ シャフトカラー :「内径10mm」 3個
㉓ フック : 2個
㉔ ばね : 1本
⑳-㉔各部品を支柱に装着します。
㉒シャフトカラーは、「支柱側面の扉側のシャフトの下端」と
「上両端青枠、下側手前赤枠」に1個ずつ取り付けます(下画像)。

㉓フックは、⑮MDFの裏面と支柱の上面に
1個ずつ取り付けます(上画像)。
基板作製
①部材作製
[使用した材]
[1層目]
㉕ MDF12mm :「300mm × 385mm」 1枚
[2層目]㉖ MDF14.5mm:「50mm × 385mm」 2枚
㉗ MDF14.5mm:「190mm × 85mm」 1枚
⑲ MDF9mm :「85mm × 190mm」 1枚
㉘ tスロットトラック:「30mm規格、長さ30cm」 2本
㉙ MDF14.5mm:「130mm × 140mm」 1枚
㉚ MDF14.5mm:「130mm × 160mm」 1枚
㉛ 鬼目ナット :「M4、長さ10mm」 8個
まず、㉕MDFの上両端に㉖MDFを
接着剤で貼り付けます(下画像赤枠)。

続いて、㉗MDFを接着します(下画像青枠)。
そして、⑲MDFを仮固定したまま下穴φ6をあけて、
㉛鬼目ナットを埋め込みます。

次に、㉘tスロットトラックを仮固定し、
下穴φ6をあけた後、㉛鬼目ナットを埋め込みます(下画像緑枠部分)。

再度、㉘tスロットトラックを固定します。
その後、㉙㉚MDFを1層目に仮固定した状態で下穴φ6をあけて、
1層目に㉛鬼目ナットを埋めます(下画像茶枠)。

②ガイドフェンス導入
[使用した材]
㉜ アルミフレーム2040:「長さ300mm」 1本
㉝ tスロットナット :「M6、30mm規格」 2個
㉞ M6ボルト :「長さ65mm」 2本
㉟ ノブ :「M6」 2個
㊱ ホールドダウンクランプ: 2個
㊲ tスロットナット :「M8、30mm規格」 2個
㊳ 全ねじ :「M8、100mm」 2本
㉜-㊳各部品を㉘tスロットトラックに
取り付けます(下画像)。

蓄電池取付
[使用した材]
㊴ スイッチ :1個
㊵ バッテリーアダプター :1個
㊶ 18Vバッテリー :1個
まず、駆動部の左側面を外し、φ6とφ12の穴をあけて、
以下の通りに加工します。
φ6:モーターの電線を通す
φ12:スイッチを取り付け
㊴スイッチを駆動部に固定して、
ギボシ端子同士を繋ぎます(下画像)。

㊵バッテリーアダプターを支柱裏面に固定し、
仕上げに、㊳18Vバッテリーを装着したら完成です(下画像)。

性能試験
[騒音・振動] 減速比 0.3
18.0V (1350rpm) : (0m 66dB・1.0 / 1m 57dB・0.9)
使用した部品:一覧
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[Amazonで購入したもの]
①タイミングプーリーGT2 100T・30T
ドリルの回転数を落とすために使用します。
今回の組み合わせで、1350rpmに減速しています。
②バッテリーアダプター
使用するバッテリーごとに製品があるため、
所有しているものに合わせて購入してください。
③フック
ドリルを釣り上げた状態を維持するために使用します。
④リニアブッシュ
⑤tスロットトラック 30mm規格 ⑥ホールドダウンクランプ
木材などの加工対象を抑えるために使用します。
片手が空くため、便利な機能です。
[Aliexpressで購入したもの]
①スピンドルモーター
「モーター」はAmazonでも購入することができますが、
「価格」が高いので、抵抗が無ければAliexpressでの購入がおすすめです。
(※納期は2週間程度かかります。)
[ホームセンターで購入したもの]
①蝶番
「蝶番」は支柱側面の開閉用部品として使用します。
深さ調整機能を導入するために、この設計にしています。
②ばね
ばねに関しては、種類が多すぎるので選択ミスに注意が必要です。
今回使用したものは、以下のものです。
[モノタロウで購入したもの]
①ベアリング内径20mm / ②セットカラー内容20mm
チャックアーバーの外径に合わせて選定しました。
https://www.monotaro.com/p/3932/5571/
https://www.monotaro.com/p/3262/3132/
③S軸チャックアーバー / ④ドリルチャック
https://www.monotaro.com/p/4093/7644/
https://www.monotaro.com/p/0465/9846/
⑤タイミングベルトGT2 270mm
https://www.monotaro.com/p/3621/4175/
⑥シャフトφ10
モノタロウで購入すると、品質が安定しています。
昇降にも影響を及ぼすので、信頼できるものを選びました。
https://www.monotaro.com/p/7606/0313/
⑦アルミフレーム
「アルミフレーム」はガイドフレームに使います。
金属なので木材とは異なり、反りによる精度低下を避けれます。