本記事では、「丸鋸作製:スライドソー③用(~73dB)」
を自作する方法を紹介します。
本作品では、持ち運びができるように、
大きさや重量を抑えて設計しました。
[本作品の設計方針]
・持ち運びしやすい大きさ
「450mm × 450mm」 の土台で設計
18Vバッテリーを搭載すれば、屋外での使用も可能
・鋸刃径125mm / レール450mm を採用
⇒ 切断高さが40mm程度で確保
⇒ 長さ30cmまで切断可能
・丸鋸本体を小型化
⇒ 鋸刃をスライドソーの中央に配置可能
⇒ 土台を最大効率で使用できる
「スライドソーを自作してみたい、騒音を抑えて木材加工をしたい」
という方は、是非本記事をご覧ください。
また、今回の丸鋸を搭載した「スライドソー3」の
製作方法は、以下の記事からご覧ください。
なお、「材料・部品」に関しては、記事の最後に記していますので、
目次をクリックしてご覧下さい。
前置き
前作②(~74dB)では、ガイドレールを用いたスライドソーを作製しました。
シャフト剛性が向上したことで、スライド機能を十分に確保できました。
しかし、設計に関して2点の課題が浮上しました。
① 丸鋸の横幅 (28cm幅) が大きすぎる
・ 基板の中央に鋸刃を配置できない
⇒ 基板を最大効率で活用できない
② 基板のtスロットトラックの位置
・ 鋸刃とクランプが遠い
⇒ 材を押さえる力が弱く、精度に影響する
そこで本作品では、以下の方針で改善を行っていきます。
① リニアブッシュに位置を変更
・丸鋸の小型化 ⇒ 鋸刃を基板の中央に配置可能
② 左右対称の位置にtスロットトラックを配置
・より効果的にクランプすることが可能
本作品 (3-①) の性能
本作品 (3-①)の性能は、以下のとおりです。
[性能]
・騒音「~73dB」(完成状態での騒音値 : 1m地点)
・振動「~2.0」 (完成状態での振動値 : 1m地点)
・基本切断高さ 45mm
丸鋸作製
[使用した材]
① MDF9mm :「130mm × 135mm」 2枚
② MDF9mm :「130mm × 80mm」 2枚
③ MDF9mm :「65mm × 105mm」 2枚
④ MDF9mm :「実寸合わせ」 1枚
⑤ MDF5.5mm :「実寸合わせ」 3枚
まずは、①MDFにベアリング用の穴をあけて(下画像)、
①②MDFを以下のように接着します(下画像)。
続いて、④MDFを以下のように穴あけ(φ9)して(下画像)、
③④MDFを接着します(下画像)。
⑤MDFを実寸合わせに切り取り、
以下の3部分にビス止めします(下画像赤枠・青枠部分)。
仕上げに、下地処理+塗装をしたら完了です。
伝動機構の導入
鋸刃の回転軸を変更することで、
「切断深さの増加 / 振動抑制」の効果が得られます。
[使用した材]
⑥ ベアリング :「内径10mm、外径26mm」 2個
⑦ スピンドルモーター:「300W」 1基
⑧ 回転軸 : 1本
⑨ アルミプーリー :「内径8mm、外径30mm」 1個
⑩ アルミプーリー :「内径10mm、外径30mm」 1個
⑪ 丸ベルト :「径5mm、周長225mm」 1輪
まずは、⑥ベアリング/⑦モーター/⑧回転軸/⑨⑩プーリー を取り付けて、
接着剤でシャフト-ベアリング間を固定し、⑪丸ベルトを装着します(下画像参照)。
[ベアリング-シャフト用接着剤]
回転時の振動抑制のために使用します。
メンテナンス時には、金槌で叩いて剥がすことが可能です。
補足:回転軸の作製
[使用した材]
・ アルミ丸棒φ25:「長さ25mm程度」 1個
・ シャフトφ10 :「長さ15cm程度」 1本
アルミ丸棒 (25mm)に対して、
以下の旋盤加工を行います。
① 端面を整えて
② φ5の穴を貫通させます。
③ さらにM6のタップを貫通させて、
④ φ10の穴を15mm程度あけます。
接着剤を塗布したシャフトを差し込み、
固定します(下画像参照)。
[回転軸作製用の接着剤]
メタルロック:金属同士の固定に特化。
鋸刃が飛ばないためにも、強く接着できるものを選びます。
そして、鋸刃を装着するために、
フランジ部分を作ります(下画像参照)。
性能試験
丸鋸本体が完成したので、「静音性能」をみていきます。
(※電圧の設定は、バッテリーの導入を考慮した値としています)
[騒音・振動]
10.8V (2700rpm) : (0m 62dB, 3.2 / 1m 63dB, 2.1)
14.4V (3600rpm) : (0m 74dB, 3.4 / 1m 68dB, 1.8)
18.0V (4500rpm) : (0m 77dB, 4.7 / 1m 73dB, 2.0)
使用した部品
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[Amazonで購入したもの]
①② シャフトφ10 / アルミ丸棒φ25
回転軸の作製には以下の2つを使用しています。
(※ただし、芯を出すためには旋盤加工が必要です)
③ 接着剤
回転軸の作製時に使用します。
[Aliexpressで購入したもの]
④⑤ スピンドルモーター / アルミプーリー
モーターはAmazonでも購入することができますが、
「価格」が倍ほどするので、Aliexpressでの購入がおすすめです。
(※納期は2週間程度かかります。)
アルミプーリーに関しては、丸ベルトに対応した品を購入できます。
Amazonでは、タイミングベルト用のものが多いので注意が必要です。
[楽天で購入したもの]
⑥ 鋸刃:神之牙
ヤマシンさんの「神之牙」を使用しました。
金属刃特有の甲高い音が生じないため、静音性に優れています。
また、トルクの乏しい丸鋸との相性が良いそうなので、採用してみました。
⑦ ベアリング
複数個購入しても、送料が210円と一定であるため、
大量購入すれば、Amazonよりも単価を抑えることができます。
[モノタロウで購入したもの]
⑧ 丸ベルト (φ5 / 225mm)
「モノタロウ」では、エンドレスタイプの丸ベルトがあります。
こちらは伸縮性があるため、大きな負荷にも対応しやすくなります。