電動ドリルを使用している方で、
以下の点が気になることはありますか?
・「電動ドリル / ミニボール盤」の騒音が気になる!
・「卓上ボール盤」は重くて持ち運びしにくい!
・面積の大きい材も加工したい!
・場所の制限がない「バッテリー式」があればなぁ~
本記事を読めば、上記の課題を解消した
「蓄電池式静音ドリルプレス(~69dB)」の作り方が分かります。
ぜひ、オリジナルのドリルプレス(ボール盤)を製作してみませんか?
[本作品2の特徴]
①駆動時の騒音が小さい(~69dB)
②比較的軽量で持ち運びしやすい(本作5.5kg)
(市販品:ミニボール盤5kg、卓上ボール盤20kg)
③幅広い種類の材に穴あけ加工が可能
④バッテリー式のため、使用場所に制限が無い
[前作品1との違い]
①モーターを200W→300Wに変更(切削能力の増強)
②tスロットトラックの廃止 (基板の再作製)
③支柱の固定穴の変更 (穴位置・数の変更)
[本作品2の要改善点]
①Tボルトの固定がしにくい
・基板2層目の溝幅(20mm→14mm)
・基板3層目の溝幅(10mm→8mm)
②駆動部の騒音対策(遮音シートの導入)
本作品2の性能
[性能]
・騒音 :「~61dB」 (完成状態での騒音値 : 1m地点)
・振動 :「3.6 / 0.8」(完成状態での振動値 : 机上傍/机真下)
・切削径 :「φ26まで切削可能」
・昇降幅 :90mm/60mm(ガイドフェンス無/有)
・フトコロ:120mm (ガイドフェンス無/有)
[本作品2の大きさ]
・横幅:30cm
・奥行:37cm
・高さ:32cm
駆動部作製
①木材カット / 接着
まずは、ドリルプレスの外枠を組み立てていきます。
騒音が一番発生しそうな「減速部分」を覆う意味でも重要な部品です。
[使用した材]
① MDF9mm:「80mm × 140mm」 2枚
② MDF9mm:「80mm × 100mm」 1枚
③ MDF9mm:「80mm × 170mm」 1枚
④ MDF9mm:「80mm × 70mm」 1枚
⑤ MDF9mm:「80mm × 110mm」 1枚
⑥ 軸受け :「内径20mm / 外径37mm」2個
まずは、①-⑤MDFを用意します(下画像)。

そして、①・④MDF(各1枚)に穴をあけて、
ベアリングを接着します(上画像)。
その後、①-④MDFを接着します(下画像)。

接着したら、③MDFに⑤MDFを重ねて切り、
端の長さを揃えます(下画像)。

仕上げに、④・⑤MDFを
以下の形に接着したら完了です(下画像)。

②部品組立
[使用した材]
⑦ モーター :「300W」 1基
⑧ プーリーGT2 :「内径8mm / 30歯」 1個
⑨ プーリーGT2 :「内径20mm / 100歯」 1個
⑩ ベルトGT2 :「幅6mm / 294mm」 1個
⑪ シャフトカラー :「内径20mm」 2個
⑫ チャックアーバー:「S軸 2×ST20」 1個
⑬ ドリルチャック :「10MG JT.NO.2S」 1個
⑦-⑬各部品を駆動部に装着します(下画像)。

③仕上げ
[使用した材]
⑭ MDF5.5mm:「実寸合わせ」 2種類
⑮ MDF9mm :「115mm × 120mm」 1枚
⑭MDFは「駆動部の側面(下画像)」および「モーター後ろ側」の
サイズに合わせて切り取り、ビスで固定します。

また、⑮MDFはブッシュ取付用の穴φ8をあけ、
モーター背面に接着します(下画像参照)。

基板作製
①部材作製
[使用した材]
⑯ MDF5.5mm:「300mm × 300mm」 1枚
[2層目]⑰ MDF5.5mm:「40mm × 300mm」 2枚
⑱ MDF5.5mm:「180mm × 300mm」 1枚
[3層目]⑲ MDF5.5mm:「45mm × 300mm」 2枚
⑳ MDF5.5mm:「190mm × 300mm」 1枚
まず、⑯MDFの上面に⑰⑱MDFを
接着剤で貼り付け、⑲⑳MDFを同様に接着します(下画像)。

②ガイドフェンス導入
[使用した材]
㉑ アルミフレーム2040:「300mm」 1本
㉒ tボルトM6 :「長さ、70mm」 2本
㉓ 蝶ナット :「M6」 2個
続いて、㉑アルミフレームにφ6の穴をあけて、
㉒tボルトを通し、㉓蝶ナットを装着します(下画像)。

③材抑え機構の導入
[使用した材]
㉓ 蝶ナット :「M6」 2個
㉔ tボルト :「M6、長さ70mm」 2本
㉕ クランプ : 2個
基板の溝に㉔tボルトを通して、
㉕クランプを装着します(下画像)。

昇降機構導入
①支柱作製
[使用した材]
㉖ MDF9mm :「130mm × 40mm」 2枚
㉗ MDF9mm :「40mm × 300mm」 2枚
㉘ MDF9mm :「150mm × 300mm」 1枚
まずは、㉖MDFにシャフト用の穴φ10をあけて、
㉘MDFの上に、㉖㉗MDFを「コの字型」に接着します(下画像)。

その後、㉘MDFのうち、片面は接着剤で貼り付けて、
もう一枚は、蝶番で連結します(下画像)。

②部品組立
[使用した材]
㉙ シャフト :「φ10mm / 300mm」 2枚
㉚ リニアブッシュ:「内径10mm用」 4個
㉛シャフトカラー :「内径10mm」 3個
㉜ フック :2個
㉝ ばね :1本
㉙-㉝各部品を支柱に装着します。
㉛シャフトカラーは、「支柱側面の扉側のシャフトの下端」と
「上両端赤枠、下側手前青枠」に3か所取り付けます(下画像)。

㉜フックは、「ブッシュ取付板の裏面(駆動部作製③仕上げ参照」と
「支柱の上面」に1個ずつ取り付けます(上画像)。
③底板加工
[使用した材]
㉝ MDF9mm :「65mm × 180mm」 1枚
㉞ 鬼目ナット:「M4」 6個
㉝MDFを基板の上に仮固定し、φ6の穴を貫通させます。
その後、㉝MDFを外し、基板に㉞鬼目ナットを埋め込みます。(下画像赤枠部分)

仕上げに、支柱の底面に㉝MDFを接着して(下画像)、
基板に取り付けます。

蓄電池取付
[使用した材]
㉟ スイッチ :1個
㊱ バッテリーアダプター :1個
㊲ 18Vバッテリー :1個
まず、駆動部の側面を外し、φ6とφ12の穴をあけて、
以下の通りに加工します。
φ6:モーター電線用
φ12:スイッチ取付用
その後、ギボシ端子をカシメます(下画像)。

㉟スイッチを駆動部に、㊱バッテリーアダプターを支柱裏面に固定し、
ギボシ端子同士を繋いたら完了です(下画像)。

仕上げに、㊲18Vバッテリーを装着したら完成です。
性能試験
[騒音・振動] 無負荷状態
18.0V (1350rpm) : (近傍 69dB・3.6 / 机真下 61dB・0.8)
[切削能力]
18.0V:座繰りドリル26mmまで加工可能
使用した部品:一覧
最後に、本記事で使用した商品を下に挙げておきます。
部品選定・自作の参考にしてみて下さい。
[Amazonで購入したもの]
①タイミングプーリーGT2 100T・30T
ドリルの回転数を落とすために使用します。
今回の組み合わせで、1350rpmに減速しています。
②バッテリーアダプター
使用するバッテリーごとに製品があるため、
所有しているものに合わせて購入してください。
③フック
ドリルを釣り上げた状態を維持するために使用します。
④リニアブッシュ
⑤ホールドダウンクランプ
木材などの加工対象を抑えるために使用します。
片手が空くため、便利な機能です。
⑥Tボルト70mm
アルミフェンスとクランプの固定に使用します。
[Aliexpressで購入したもの]
①スピンドルモーター300W
「モーター」はAmazonでも購入することができますが、
「価格」が高いので、抵抗が無ければAliexpressでの購入がおすすめです。
(※納期は2週間程度かかります。)
[ホームセンターで購入したもの]
①蝶番
「蝶番」は支柱側面の開閉用部品として使用します。
深さ調整機能を導入するために、この設計にしています。
②ばね
ばねに関しては、種類が多すぎるので選択ミスに注意が必要です。
今回使用したものは、以下のものです。
③蝶ナット
ガイドフェンスとクランプの固定に使用します。
[モノタロウで購入したもの]
①ベアリング内径20mm / ②セットカラー内容20mm
チャックアーバーの外径に合わせて選定しました。
https://www.monotaro.com/p/3932/5571/
https://www.monotaro.com/p/3262/3132/
③S軸チャックアーバー / ④ドリルチャック
https://www.monotaro.com/p/4093/7644/
https://www.monotaro.com/p/0465/9846/
⑤タイミングベルトGT2 294mm
https://www.monotaro.com/p/3621/4175/
⑥シャフトφ10
モノタロウで購入すると、品質が安定しています。
昇降にも影響を及ぼすので、信頼できるものを選びました。
https://www.monotaro.com/p/7606/0313/
⑦アルミフレーム
「アルミフレーム」はガイドフレームに使います。
金属なので木材とは異なり、反りによる精度低下を避けれます。